第4回: 『デス・プルーフ in グラインドハウス/Death Proof』(2007)
〈おことわり〉基本ネタバレ全開で話が展開します。観てない作品のネタバレをされたくない方は個人の判断で読むのをおやめください。ていうか読んだ後で怒るのだけはくれぐれもやめるシコ!
蛮男夢(ばんだむ)-スカムライツの宣伝担当。夜の暴力映画狂色欲猫(DISCO CAT) |
すかむらいつお-80年代のハードコアパンクとVHSマニアのごくつぶし。蛮男夢の一応飼い主。 |
蛮男夢(ばんだむ)、以下バ:連載4回目だけど、どんだけの人が読んでくれてるのか甚だ不安なんだシコ。それでも続けるんだシコ!ゴキブリみたいなしぶとい連載にするんだシコ!
すかむら いつお、以下い:なんとなく好きな映画の話というよりも「みんな知ってる浅いトリビアの垂れ流し」って感じだもんな笑
バ:うるさいシコ!せっかく読んでもらった人に一つでも二つでも知らなかった映画知識を持って帰って欲しいという顧客目線によるものだシコ。
い:とはいえ、五福星の知識なんて誰がいるねん問題は大いにあるけどね!笑
バ:ムキー!!偽レギュラーのくせによく喋るシコ!早くこれ読むんだシコ!
い:(蛮男夢から投げつけられたカンペを綺麗にキャッチして)でももう俺いなきゃこの連載無理だなって読者もVHS BOYA®︎も気づいてるっぽいから安泰だもんねー!二ヒヒヒヒ!えーと……
"『デス・プルーフ in グラインドハウス』(Death Proof)は、2007年のアメリカ合衆国のアクション・ホラー映画。クエンティン・タランティーノ監督、カート・ラッセル主演によるカーアクション・スリラー映画である。2本立て映画『グラインドハウス』(Grindhouse)の1編「デス・プルーフ」に、アメリカでの2本立て公開時にカットされたシーンを加えて、1本の作品としたもの。"
というか、これってホラーなのかな?
バ:途中、カート・ラッセル演じるスタントマン・マイクが及ぶ鬼畜の所業と呼ぶべきシーンは完全にホラーなんだシコ。ただ、見せ場は痛快な本気のカーアクションであり、観終わった印象は最高に笑えるコメディでもあるという所が、タランティーノらしさと言えるんだシコ。つまりは好きな要素の全部入りなんだシコ!
い:とにかくカート・ラッセルだよね!調子こきまくる前半からの後半まさかの展開を経てあの最高なラストショットの対比でアガリまくるよな!笑
この時はカッコイイんだけどな笑 |
バ:実際映画館で拍手が沸いたエンディングを体験したのってこれぐらいかもしれんシコ!
い:いやー本当に本当に!あんなエンディング見たことなかったっていうかさ。そんなんありかよ!ってなったもん!笑 手を叩いて爆笑したよ!
バ:ワイが行った回ではマジでスタンディングオベーションが起こったシコ!海外の映像では見たことあったけど、実際起こると本当に楽しいんだなって心底感動したんだシコ!
い:そういう意味でもタランティーノの金字塔はこれだよな。ていうかラストの話で盛り上がり過ぎだよね?笑 序盤なのに…笑
バ:確かにその通りなんだシコ笑 それでは詳しくこの映画とタランティーノ周辺にスポットを当てていくんだシコ。まずはグラインドハウスってなんぞや?ってとこ辺りからいくシコ。
い:昔のアメリカであった上映方式だっけ?
バ:そうなんだシコ。グラインドハウスとは、エクスプロイテーション映画やB級映画などを2、3本立てで上映していたアメリカの映画館のことなんだシコ。この『デス・プルーフ』と、同時上映された『プラネット・テラー』は当時の上映作品の雰囲気を再現しているんだシコ。
い: Wikiにも出てる、前半ちょいちょい出てくる「フィルムの傷や、リールのダブりや飛びによる画像ノイズや音割れとかの再現」も全部オマージュってことだよね?
バ:そういうことなんだシコ。タランティーノは言ってしまえば自分が見てきた色んな映画体験をパロディとオマージュによる大胆な引用で現代に蘇らせるってことを徹底的にやっている作家ということが言えるんだシコ。そこには映画愛しかないんだシコ。
い:確かにね。映画ヲタの偏愛って言い切っちゃうとそれで終わっちゃうけど、それを超メジャーなフィールドでやってるってとこがカッコいいよね。
バ:そうなんだシコ。お前の割にはいいこと言ったシコ!そしてタランティーノと言えばダラダラと関係ない話が続く点なんだシコ。『デス・プルーフ』でも女子達がずーっとくだらない話をしてるんだシコ。
イーライ・ロスが出てる! |
い:関係ない話を延々としてると思いきや、映画ラストにその伏線回収…みたいなことは一切しない、駄話は駄話ってとこがタラのいいとこ!笑
バ:そのガールズトーク花盛りの女子たちの前に現れるキモサイコ野郎がカート・ラッセル演じるスタントマン・マイクなんだシコ!こいつが本当にキモくてサイコーなんだシコ!
い:マイクの車もすげーよな!
バ:70年製シボレー・ノヴァSSが前半で、後半は69年型ダッチ・チャージャーだシコ。どちらも最高にカッコいいんだシコ。
い:ボンネットに髑髏のマークをペイントしてて、アレもかっけーんだよなぁ〜
バ:女性陣は72年型フォード・マスタングから、70年型ダッチ・チャレンジャーに乗り換えるんだシコ!後半はダッチ対決となるんだシコ!
い:いや、そして、マジでヤベーのはスタントマン・マイクじゃなくて、ガチなスタント・ウィメン!!
バ:車の上に乗って一番ヤバイことしてるのは本当のスタントマンでもあるゾーイ・ベルだシコ。役名もゾーイ・ベルだから、ゾーイ自身として登場してるんだシコ。つまりはタラの当て書きなんだシコ。
い:あのボンネットでクルクル回ってんのとかヤバイよな笑
下手すりゃ死ぬ!笑
バ:あそこも含め全部ガチで撮影してるんだシコ!ノーデジタル処理シコ。当時の再現として、そこは重要な要素なんだシコ。
い:でもマジで下手したら死ぬじゃんか?笑
そういうのも含めタラってやっぱりヤバイね笑
バ: タラ曰く「デジタルは一切ナシだ。車の速度を遅くして、あとから速く見せかける、なんてことも一切していない。100マイルで疾走する車を撮るためには、110マイル(177キロ)で走らなければいけないんだ。もちろん、オレはその車に乗ってカメラを回していたんだから!」というわけなんだシコ!デスプルーフ(耐死仕様)とはタラのことかもしれないシコ笑
い:あれ全部ホントとか信じられん笑
バ:ゾーイは『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタントも担当してるんだシコ。その後も『ジャンゴ 繋がれざる者』、『ヘイトフル・エイト』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などタラ映画には殆ど顔を出してるんだシコ。ユマ・サーマンと並ぶタラ映画のミューズだシコ。
い:あと、ドリュー・バリモアが初監督した、エレン・ペイジ主演の俺の大好きな『ローラーガールズ・ダイアリー』にも出てたよね!
バ:そうなんだシコ。ブラッディ・ホリーだシコ!
い:あとこの映画で忘れちゃいけないのが、メアリー・エリザ…何だっけ?いつも言えない笑
バ: メアリー・エリザベス・ウィンステッドだシコ!チアガールの格好でちょっとお馬鹿なモデルを演じてるんだけど、彼女の存在がかなり重要なんだシコ。
い:メアリーがだいぶコメディ要素を担ってくれてるよね?それにより、猟奇的な展開になる前半終わりからの後半の空気が重たくならずにいい感じにラストの対決に繋いでくれてる。
バ:リー(メアリーの役名)が最終的にどうなったのか語られないとこもいい感じなんだシコ笑
い:そうそう!置き去りにされちゃうもんね笑
ていうか何しろ可愛い!!!
バ:タラ映画ならこれ以外にいつおは何が好きなんだシコ?
い:全部好きだけど、やっぱり『イングロリアス・バスターズ』!!『パルプ・フィクション』も『レザボア・ドッグス』も大好きだけどイングロのチャプター1の震え上がる緊張感とラストカットの痛快さはちょっとヤラれた!って感じだったな。映画館で唸っちゃったもの。お前は?
緊張感がヤバイ!この写真見ただけで手汗w |
バ:ワイは何と言っても『ジャッキー・ブラウン』だシコ!パム・グリアの大人の色香が匂い立つような最高の一本だシコ!デ・ニーロのダメ男っぷりもオモロイんだシコ。
い:あいつな!笑 哀しくなるぐらいマヌケだよね?でもいいんだよな〜。というかタラ映画はキャラが全部いいよね?
バ:タラ映画の好きなキャラクターだけでランキングしたら、それだけで特番組める濃密さだシコ。
い:ベスト3挙げてみようぜ!
じゃあ俺からな!3位!
ジャジャーン!『デス・プルーフ in グラインドハウス』のスタントマン・マイク・マッケイ(カート・ラッセル)!!
やっぱりこいつは外せないよな。最狂にして最弱っていうかさ笑 ナチョスをくちゃくちゃ汚く食べるシーンとか悶絶級に好き!笑 よし、じゃあお前の3位!!
バ:『パルプ・フィクション』のヴィンセント・ベガ(ジョン・トラボルタ)シコ!!!
やっぱりタラ映画を代表するキャラクターといえばヴィンセントなんだシコ。トラボルタのキャリア復活劇としてもあまりにも出来過ぎたシナリオだったと言えるんだシコ!!
い:わかる!
じゃあ俺の2位!!
ジャジャーン!!
『イングロリアス・バスターズ』のハンス・ランダ親衛隊大佐(クリストフ・ヴァルツ)!!!
タランティーノ自身も「自分の映画史上最高のキャラクター」って言ってんのを何かで見たよ!こいつがマジで殺したいぐらい嫌な奴だから、ラストの復讐劇まで興奮状態で持続するとも言えるよね。本当にチャプター1を繰り返しリピートしちゃうぐらい大好き!!
バ:わかるシコ!
じゃあワイの2位シコ!!
『ジャッキー・ブラウン』のジャッキー・ブラウン(パム・グリア)だシコ!!!
トラボルタ同様、映画界にパムを返り咲きさせたという意味合いでも大きい仕事だし、何よりカッコイイんだシコ!!ここから元ネタの『コフィー』とか『フォクシー・ブラウン』なんかの70年代ブラックスプロイテーション映画を観るきっかけにして欲しいんだシコ!!!い:では俺の1位!!!
ジャジャジャーーーーン!!!
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のクリフ・ブース(ブラッド・ピット)!!!
ブラピはイングロのアルド・レイン中尉でもいいんだけど、ワンハリのクリフはどこをどう切り取ってもカッコいい!!!こんなカッコイイ奴、この世にいるんだってレベル笑 レオナルド・ディカプリオ演じるリック・ダルトンがスターの役なのに、クリフの方が2億倍カッコいい笑
バ:栄えあるワイの第1位シコ!!
『パルプ・フィクション』のジュールス・ウィンフィールド(サミュエル・L・ジャクソン)だシコ!!!
観たら絶対ハンバーガーが食べたくなる! |
い:わかるわぁ!!でもお前、『パルプ・フィクション』から二人って結局一番好きなの『パルプ・フィクション』じゃないの?笑
バ:好きなキャラとか好きなシーンは多いんだけど、作品トータルで見るとワイは『ジャッキー・ブラウン』、『デス・プルーフ』、『イングロリアス・バスターズ』がベスト3だシコ。4位に『パルプフィクション』だシコ。
い:なるほどね。俺は『デス・プルーフ』、『イングロリアス・バスターズ』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』かな。やっぱり初期は荒い感じがして、そこもまたいいんだけど、タラは最新作が毎回一番完成度高い!って気持ちになるよね。
バ:2人の会話に全く出てこない『キル・ビル』も嫌いじゃないけど、まぁアレはアレとしてという感じシコ笑
タラは10作品で映画監督を引退すると宣言していて、次が10作目なんだけど、『キル・ビル3』という説があるんだシコ。
い:へぇー!!それヤバイな!!絶対面白いじゃんか!!
バ:実際、タラが10作で監督を終えるかどうかはわからんけど、いずれにせよ映画ファンは正座して見るべき一作になることになりそうだシコ。
い:やっぱりタラ映画は最高だよねー。ナチョス食べながら『デス・プルーフ』また観よっと!
バ:ワイはハンバーガーとスプライトで『パルプ・フィクション』観るとするシコ!では次回は日本映画でも語ろうシコ!
い:お!いいね!
バ:山下敦弘とかどうなんだシコ?
い:いいじゃん!『リアリズムの宿』!!
バ:では次回山下敦弘の『リアリズムの宿』と山下敦弘をアーカイブする回でお会いするシコ!!
(第5回: 『リアリズムの宿』(2004)につづく)